ここ数年で明らかに日本のヒップホップシーンが隆盛化してきていますよね。それに伴って日本でもラッパー人口が増えていますが、近年着実にヘッズのプロップスを掴んでいるZORNが私も大好きです。
シングルを出すたびに話題になり、地元を大切にするいわゆる「フッドスター」的な立ち位置で、今後も活躍が注目されます。アルバムを待ち焦がれる人が多数いて、ライブをやればチケット即完売の状態です。客演(feat.)に豪華すぎる人選をすることでライブも大盛り上がり。いよいよ武道館か?という空気も出ていますよね!
なのでこの記事では、ZORNの代表曲である「Walk This Way feat.AKLO」から、なぜ彼の曲がヘッズにこうも人気なのか、ヘッズ歴10年を超える私の見解を述べていこうと思います!
ラッパー・ZORNが人気の理由は?
ラッパー・ZORNの人気はとどまることを知りません。
ヘッズのみなさんはご存知かもしれないですが、彼はもともと「ZONE THE DARKNESS」という名前で活動していました。若くして数々の名作を生み出し、なかでも『震エテ眠レ』を聞いてしびれた人はとても多いと思います。
特徴的なのはそのリリックで、情景描写が非常にうまいんですよね。フリースタイルラップバトルにも若くして参加し、韻を踏みまくっていた姿からもかなりのボキャブラリーを伺わせます。RAU DEFとのバトルも、UMB東京予選のRUMIとのバトルもすごかったですよね…!
リリックはもちろん、そもそもイケメンであることや、やんちゃしていた背景なども興味深いところです。ただ、中でも特に人気を支えた要素を今回の記事ではお伝えさせていただけたらと思います!
ZORNの人気の理由は日常の切り取りにある
ZORNの特徴としてはリリックとライミングがあるとお伝えしました。情景描写もさることながら、抜群に韻を踏んでいるんですよね。個人的に今、一番気に入っているZORNのライミングは「表参道のオープンカフェよりお嫁さんとの醤油ラーメン」でしょうか。踏みすぎだしかなりの飛距離ですが、韻についての話はまた今度…!笑
結論をお伝えするとZORNの人気の理由は「日常の切り取りにHIPHOPを感じるから」だと思います!
というのも、3人の娘さんがいるZORNはとても家族想いなんですよね。それがにじみ出た曲が多くあり、しかもそこにHIPHOPを感じるという…!
例えば多くの人のイメージは「ヒップホップってやんちゃ坊主の音楽?」「金歯とかゴールドチェーンとか?」でしょう。いやいや、違います。ZORNのリリックをかりれば「洗濯物干すのもヒップホップ」なんです。一般人である私たちも強く共感できる日常を切り取って、そこにヒップホップがあることを教えてくれるんですよね。ヒップホップに憧れていながらもどこか「ラッパーにはなれないな…」と感じるものですが、自分たちの日常にだってヒップホップはあるんだよってことを教えてくれるのです。そこに強い共感が生まれ、勇気をもらって明日からもがんばれる、そんな活力を与えてくれるラッパーなので、こうも人気なんだと思います。
地元の葛飾シンフォニーヒルズでライブを行い、会場を後にする際には小さな娘さんを抱えて高級リムジンに乗り込んだ姿は有名ですよね。「家族を大切に、ヒップホップに生きる」という、一般人にも共感されやすい日常の切り取りこそが、ZORNの人気につながっているのだと私は考えています。
ZORNのリリックはこう解釈してみるとイイ!
さてさて、ではどういった部分に強く共感できるのでしょうか?完全に個人的見解ですが、代表曲である「Walk This Way feat.AKLO」のリリックを見ながら私の見解を述べたいと思います!
曲中の『ラッパーでパパ二足のわらじ/一つの形/急ぐのは無し/一方通行な旅もう遠くへ来た/でもまだ地元で押すベビーカー』というラインがたまらなく好きなのですが、自分を重ねやすいですよね。
私も今は個人事業主として活動もしつつ、夢を追いつつ、家族との時間も大切にしつつ、時には大変なこともあるけれど成功に向かって一方通行の旅のようなものだと勇気をもらいます。同じように感じる人は多いでしょうし、かなりリアルな日常を描写していますよね。特に同世代で最近になってお子さんが生まれたりする人ほど、響くものがあるんだと思います。そして、自分の生き方だってヒップホップなんだよと誇れるようになるのではないでしょうか。
また、『ぶっちゃけなんか成功ってつまんなそう/まだしてもいないのに不安だよ/今しか見えないものがある気がする/からTシャツにVansで歩き出す』というラインもたまらないですよね。
成功したい気持ちはあるけど、不器用だからか不安だからか「なんかつまらなそうじゃね?」とあまのじゃくになってしまうこともあるでしょう。それでもTシャツとVansのスニーカーというシンプルな装いで進んでみようぜと、背中を押されますよね。
見事に葛藤と希望を描いて、「なんとかなるだろう」精神も感じさせるリリックに感動さえ覚えます。このように、日常をきりとって共感を得るから人気が出るし、自分の毎日に置き換えられるリリックも多いので楽しめるのです!
ZORNの人気は日常に共感するから
ヘッズのプロップスを確実に獲得しているZORNですが、なんでもない日常にヒップホップがあることに気付かされるからだと思います。音楽とは基本的に前向きになりたくて聞くものなので、ZORNのリリックに勇気をもらえることもファンになる理由ですよね。
なにより彼は昭和レコード出身ということもあり男くさく、ブレない姿勢を持っています。目の前の大金ほしさではなく、自分がやりたいヒップホップをするべくメジャーとの契約も断っていますしね。
紹介したWalk This Wayの曲中にも『俺にしか歩けない道の上』というリリックがあるとおり、自分の道を自分で決めて進むだけだよという姿勢にこちらも励まされます。今後も発展していく日本のヒップホップシーンにおいて、最重要人物のひとりであることは間違いありません!これからもZORNの曲でヘッドバンギングしたいと思います!