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SEEDA「花と雨」の映画が最高だった理由を解説!

躍動感あふれるポージングをする男性

日本のヒップホップシーンに大きな影響を与えたSEEDA(シーダ)ですが、少し前に自身の代表曲である「花と雨」が映画化されましたよね。

私も渋谷の映画館に足を運んで鑑賞してきました。花と雨のストーリーを知ってはいても、涙なしには見れない素晴らしい作品でした。SEEDAの生い立ちやこれまでの人生がこんなにもドラマがあったとは…!と純粋に感動したのです。

ヘッズの間ではかなり話題になった映画「花と雨」ですが、公開後の評価もすごく高いんですよね。この記事では実際に、ヘッズ歴10年を超える私の視点で、花と雨が最高だった理由をお伝えしていきます!

原曲のSEEDA「花と雨」がまず最高の1曲

まずは映画になった原曲の「花と雨」が最高ですよね。いわずもがな、日本のヒップホップシーンにかなりの影響を与えた一曲でしょう。

はずかしながら私自身は、初めてこの曲を聴いた時になんのことか理解ができませんでした。ただよくよく聴いてみると、天国にいったお姉さんとのエピソードだということがわかり、心が震えたんですよね…!

というのもSEEDAは幼いころ、両親の仕事の関係でイギリスはロンドンに住んでいました。周りとなかなか打ち解けることができず、お姉さんに何度もなぐさめられていたんだとか。徐々になじみ始めた頃に日本に帰国することとなり、ロンドンでの生活を気に入っていたお姉さんと二人で「残る」ことを考えるも、親の反対にあって日本に戻るのです。

日本の生活になじむことも最初は難しく、学校も、卒業後の仕事もうまくいきませんでした。稼ぐために危ない仕事をこなしたりして精神をすり減らしながらも、ヒップホップに出会って人生が明るくなっていくというストーリーがあります。

そんな中で大切なお姉さんが天国にいってしまい、SEEDAは打ちひしがれます。そんな実話と当時の感情を言葉にしたのがこの「花と雨」なんです。1曲のなかにものすごいストーリーが詰まっていると思いませんか?

❝長くつぼんだ彼岸花が咲き 空が代わりに涙流した日❞

というのはHOOKのリリックですが、大切な人との思い出をここまで昇華してリリックに落とし込み、落ち着きがある中でもどこか神聖な場所をイメージさせるバックトラックに、SEEDAのエモーショナルなラップがのっかっていくこの曲。

7分31秒という長さですが、前半と後半でストーリーが変わり、分かりやすいコントラストが描かれていて、決して退屈になることはありません。本当は心にしまっておきたい思い出を、こうやって作品にして世に出すことにも、アーティストとしての矜持を感じますよね…!

それまでSEEDAといえば「アンダーグラウンドとちょっと危ないヤツ」というイメージがあっただけに、ここまで真摯で誠実な想いを言葉にできるラッパーとして、シーンからの評価をグッとあげた作品でもあります。

リリース自体は2006年ですが、今あらためて聴いても名曲であることが分かります。同じように大切な人との別れを経験したことがあって、残った自分にできることを悶々と考えたことのある人にはとても響いた1曲でしょう。

個人的にも学生時代に父をなくしたタイミングで、とかく支えられた1曲でした。そんな名曲が映画化されたんですから、面白くないわけがない!というのが私の主張です(笑)

SEEDA役の笠松将さんの演技にヘッズもうなる

SEEDA役をつとめた笠松将さんは注目の若手俳優です。最近だと「仮面病棟」という映画にも出演されていましたね。

SEEDA役ということもあって、ラップをするシーンもあるのですが、これがヘッズ歴10年の私から見ても素晴らしいものでした!LIVEの場面はかなり迫真でしたし、映画館に足を運んだB-BOYのみんなにも認められて、プロップスを掴んだのは間違いありません。

また、アルバムをこれまで聴き込んできた私としては、ラッパーBESとの掛け合いのシーンがたまならく嬉しかったんですよね…!SEEDAそっくりのトーンで会話する笠松将さんの演技力に驚きを隠せませんでしたし、あのシーンでアガッったヘッズがはたくさんいるはずです。

ちなみにそのシーンは「花と雨」のアルバム4曲目のSKITを再現するものでした。(※SKITとはヒップホップアルバムに収録される間奏曲の意味)

やりとりとしてはこんな感じ↓
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SEEDA「最近さあ、どうやって金稼いでんの?」
BES「いやあ、バイトだよね」

SEEDA「バイトだ。バイト週いくつくらいやってんの?」
BES「週…3日くらい?」

SEEDA「3日だ。3日で実家じゃないべ?どうやって食ってんの?それ家賃でトんでね?」
BES「…そう、そうだよねえ~」

SEEDA「(笑)」

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という流れで次の『不定職者』へとつながっていきます(この曲も最高!)。

SKITを再現するという細かさにはコアなヘッズほど嬉しいものですし、笠松将さんの完璧な再現がこの映画をよりいいものにしていたのは間違いありません!

SEEDA「花と雨」の製作費は藤田社長の男気から

また、この花と雨という映画はサイバーエージェントの藤田社長が製作費を出しているんですよね。なんでもSEEDAの相談に二つ返事で「映画にしましょう」と決まったんだとか。

藤田社長が日本のヒップホップの大ファンだということは有名な話ですが、「製作費をポンと出す」という男気がまたカッコよすぎですよね…!そんなストーリーも、映画の評判を良くすることに一役買っていると思うんです。

我々は消費者として素晴らしい作品を応援させてもらっていますが、世に出てくるまでにはこういったサポートをしてくれる人がいてはじめて形になるんだなと感じます。

アルバム「花と雨」も日本のヒップホップシーンの歴史に名を残す1枚ですが、映画も多くの人の協力があって、鑑賞することができました。

なかでも藤田社長の男気は凄いので、ヒップホップヘッズたちからもかなりプロップスを得ているのは間違いありません。

SEEDAの映画「花と雨」のDVD化を熱望!

以上が、SEEDAの映画「花と雨」を私が最高だと思う理由です。

曲自体がそもそも素晴らしすぎるうえに、笠松将さんという注目の若手俳優を起用し、藤田社長の男気があわさった最高の作品だと思います。

渋谷の映画館で上映は終了してしまったので、これから公開される映画館は地方にあります。なんにせよDVD化を熱望して、それまでアルバムの花と雨を再度聞き込んでおこうと思っているわけです。

今後もSEEDAの動きには目が離せないので、どんな作品を世に出してくれるのかを楽しみに、応援していきましょう!